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9月14日(木) 午後7時。夕暮れまじかで陽が落ちてきている。街を走る車は皆ヘッドライトをつけ始め、人の視野が一番悪くなる時、それが今だ。
高田陽一、29才。大手電機メーカに派遣されていたコンピュータシステム技術者。彼は、派遣先の職場にいた秘書の浅川悦子がお気に入りだった。大会社ともなると、事業部長クラスには必ず一人の秘書がつくことになっていて、高田と悦子の出会いは、高田が会社が導入した新しいコンピュータシ ステムを彼女に教えたことだった。
たくさんいる秘書達の中でも悦子は特別視されていた。その理由は彼女の容姿、知性、性格、ファッションセンスなど何を取っても申し分ないからだ。
高田は理知的な、どちらかというとおんな女していないタイプが好みだった。高田が悦子に惹かれたのは、まさに彼女の理知的な顔立ちで、可愛いというより大人の女を感じさせた。
悦子の背の高さは、167cm。セミロングの髪はいつもきれいに手入れされていた。目立たない服装でありながら、センスが満ちあふれていて、他の女性と一緒にいるとそのセンスが際だつのである。
うりざね型の顔にやや大きめの瞳は二重瞼で、きりっとしまった口元から発する包むような声は、高田を魅了するには十分過ぎるほどだった。
その彼女を、高田は待っていた。
「このバス停から自宅までの300mが勝負だ」
高田は心の中でつぶやいた。高田は車の中にいた。その車はいつも悦子が降りてくる自宅から最寄りのバス停が見える位置に停車していた。
悦子の自宅は、開発まもない新興住宅地の中にマンションの一つである。開発まもないため広い土地の割には建物が少なく、建物に入居している人もまばらなため、都心に近い割には人通りが少なかった。
最寄りのバス停から、悦子のマンションまではさらに人通りが少なく、夜になると全く人影が無くなるほどであった。
高田は車の中で準備したスタンガンを手にしていた。
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